科学や技術が発展してグローバル化が進んだことで、私たちの暮らしは豊かで便利になりました。しかしその一方で未来に対する不透明さや見通しの複雑さも増しました。進歩のプラス面は多いですが、却って私たちの家族やコミュニティの人間関係は希薄になった面もあり、格差や分断、孤立や孤独の問題が浮上してきました。これらの問題はコロナ禍で更に先鋭化し、社会の多極化や分断がますます加速しつつある状況にあります。
さらに俯瞰すると、環境問題が今や待ったなしの状況です。「観測史上初」とか「未曽有の事態」といった言葉が日々連呼されています。たとえ天災であっても、それらが人々に影響を及ぼす仕方は私たち人間の活動に由来しており、その点において天災も人災であると痛感させられます。豊かで便利な暮らしのために私たちが築いてきた街並みや社会の仕組みが、地球環境の急激な変化についていけず、ほころびやしわ寄せが至るところで明らかになってきています。
　そんな不安な状況のなかで私たちには何ができるでしょうか。問題は多岐にわたり複雑に絡み合っています。私たちはホモ・サピエンスが直面する種としての生存を賭けた大きな重要課題に向き合っているというのに、我々個々人は一見無力です。共有できる希望や目的を見失い内向きになり、抑うつ的になったり絶望したりする人がいるのも目にする一方、他方では様々な心理的依存、むき出しの暴力や差別意識が蔓延しつつあります。
　ニルマライト ジャパンは上記のような問題意識を共有する様々な立場の有志が集う非営利団体です。私たちは人間が元来生まれながらに持っている成長力や学習能力を重要視します。人間であれば誰もが学習し成長していくことができる。更には自己を理解し高め、その可能性を実現していくことができ、自分自身や他者との違いを乗り越えてこころを一つにすることができる。そのような人間理解を元に、個々人の意識の変容を軸に、あらゆる分野における社会変革を目指しています。
　そのために重要なのは皆が共有できる共通の価値感であり倫理観です。人類として共通の価値とは、個々人の掛け値なしの存在価値の集合です。宗教や文化、国籍や人種に関わらず、一人一人に価値があり、それらは平等であるけれども一人ひとりに違いがあり、倫理としてそれらが尊重されるべきである。そのような集合的な意識に至ることができれば、グローバルな対話を通した連帯が可能になるはずです。
　具体的には、上記のような意識を育むための自己成長のためのセミナーやコーチング、カウンセリングを通して人々の集う地域コミュニティの構築に尽力しています。違いや利害関係を超えた人間同士のつながりが、私たちの存在の拠り所として、またあらたな出会いのきっかけとして機能します。このような超越的な意識は私たちを自由にし解放もするのです。内的バランス感覚と自由を得て初めて体験できる、利害や力関係も、文化も宗教も超えた生き方を有志が集い、共に目指して行きます。